三朝温泉(みささおんせん)は、鳥取県中部の三朝町に広がる温泉地で、三徳川の流れと山あいの景色に寄り添うように温泉街が続きます。旅館の軒先からふわりと湯けむりが立ち、橋を渡るたびに川音が近づく——そんな「温泉地らしさ」を素直に味わえる場所です。湯治場としての文化が根づき、のんびり滞在して体を整える旅に向いているのも三朝温泉の魅力だと感じます。
三朝温泉の歴史
三朝温泉は、古くから湯治の湯として知られ、平安時代の開湯伝承が語り継がれています。中でも有名なのが、白いオオカミにまつわる「白狼伝説」です。傷ついた白狼を助けた武士が夢のお告げに導かれ、古木の根元を掘ると霊泉が湧いた——という物語は、温泉街の随所で耳にすることがあります。史実と伝承が重なり合うところに、温泉地の面白さがあります。
また「三朝」という地名そのものにも、「三晩泊まって三度目の朝を迎えるころには体が楽になる」といった言い伝えがあり、湯治文化と結びついて語られてきました。こうした話を知ったうえで湯に浸かると、同じお湯でも不思議と“整っていく感じ”に意識が向き、旅の没入感が増すのが温泉地らしいところです。
三朝温泉は、ラジウム温泉として知られ、天然のラドンを含む放射能泉の一つとして紹介されることが多い温泉地です。古くから「療養の湯」「湯治の湯」として親しまれてきた背景には、こうした泉質への期待もありました。ただし体感や感じ方には個人差があり、体調に不安がある場合は無理をせず、施設の案内に従って楽しむのが安心です。
三朝温泉の見どころ
三朝温泉の特徴
三朝温泉の大きな特徴は、放射能泉(ラドンを含む温泉)として広く知られている点です。温泉地の説明では、湯に浸かるだけでなく、湯気を吸い込むことや、飲泉できる場所があることなど、さまざまな楽しみ方が紹介されることがあります。個人的には、難しい理屈よりも「湯上がりの呼吸が深くなる」「体のこわばりがほどけていく」といった、旅の中で感じる小さな変化を丁寧に味わうのが三朝らしさだと思います。
三朝温泉は湯量が豊富で、源泉かけ流しをうたう宿も多く、温泉そのものを目的に訪れる楽しみがあります。湯に入って、川沿いを少し散歩して、また湯へ——この繰り返しが似合う温泉街です。特に夕方から夜にかけては、灯りが映る川面と静かな路地の雰囲気が良く、長湯をしなくても「休んだな」と実感しやすい時間帯です。
温泉街で外せない名物「河原風呂」
三朝温泉を象徴するスポットの一つが、川沿いにある露天風呂「河原風呂」です。三徳川のせせらぎを間近に感じながら入れる開放感は、温泉街の散策とセットで楽しみたくなる名物です。混浴のためハードルが高いと感じる人もいますが、まずは場所を見に行くだけでも温泉街の空気感がつかめます。入浴する場合は、時間帯やマナーに配慮し、落ち着いて利用するのがおすすめです。
なお、河原風呂は清掃の都合で入れない時間帯がある日もあります。現地の案内表示や観光案内所の情報を確認してから向かうと安心です。旅先では「行けたら入る」くらいの気持ちで予定に余白を作っておくと、三朝温泉ののんびりしたリズムに自然と寄り添えます。
周辺の観光スポット
三朝温泉は、その美しい自然環境に囲まれた場所に位置しており、温泉だけでなく、周辺の観光地も楽しむことができます。温泉街を起点に、歴史や景観に触れる小旅行が組みやすいのも魅力です。
- 三朝温泉街:温泉街自体も趣があり、古き良き日本の風情を感じることができます。多くの旅館や宿泊施設、温泉施設が立ち並び、川沿いの遊歩道を歩くだけでも気分転換になります。湯上がりにふらっと歩ける距離感が心地よく、個人的には「目的を決めすぎない散策」が一番ぜいたくだと思います。
- 三朝温泉の足湯:温泉街には足湯が点在し、日帰りでも気軽に温泉の雰囲気を味わえます。靴を脱いで足先が温まるだけで、体の緊張がほどけるのが不思議です。タオルを1枚持っておくと、立ち寄りやすくなります。
- 三徳山:三朝温泉から車で約30分ほどの距離にある三徳山(さんとくさん)は、名高い霊山で、険しい山道の途中には、三徳山三佛寺や有名な「投入堂」があります。投入堂は、崖の上に建てられた寺で、写真で見る以上の迫力があります。参拝には動きやすい服装と靴が必須で、温泉の前後どちらに行くかで体の使い方も変わってきます。
- 鳥取砂丘:三朝温泉から車で約1時間ほどで訪れることができる鳥取砂丘は、日本最大の砂丘として有名で、広大な景色を楽しむことができます。風の強い日は砂の表情が変わり、同じ場所でも印象がまるで違うのが面白いところです。温泉でほぐしてから砂丘を歩くと、足の疲れ方が少しやさしく感じるかもしれません。
- 倉吉市街:三朝温泉から車で10分ほどの距離にある倉吉市には、白壁土蔵群と呼ばれる古い町並みが残っています。水路や土蔵の風景が美しく、甘味処やカフェに寄り道しながら散策するのに向いています。温泉街とは違う「町歩き」の時間を挟むと、旅のリズムにメリハリが出ます。
温泉旅館と宿泊施設
三朝温泉には、歴史を感じさせる伝統的な旅館から、近代的な設備を備えたホテルまで、さまざまな宿泊施設があります。宿泊施設の多くでは、源泉を生かした湯が用意され、露天風呂や貸切風呂など、旅のスタイルに合わせて選べるのが魅力です。静かに過ごしたいなら、館内で「湯→休憩→食事→湯」の流れを作れる宿を選ぶと満足度が上がります。
また、温泉旅館では、地元の食材を活かした料理が提供されることも多く、鳥取県産の海の幸や山の幸を使った旬の食材が味わえます。温泉地のごはんは派手さよりも「滋味」がうれしい場面が多く、湯上がりの体にすっと入ってくる感じがします。食後に無理して予定を詰めず、少し歩いて消化を促してからもう一度湯に入る——そんな過ごし方が三朝温泉には似合います。
アクセスと回り方のコツ
三朝温泉へは、倉吉駅を起点に路線バスで向かうルートが定番です。車がなくても温泉街の中心部までアクセスしやすく、到着後は徒歩で散策できる範囲に見どころがまとまっています。初めて訪れるなら、まず温泉街の川沿いを歩いて全体の距離感をつかむのがおすすめです。「近いからこそ、何度も同じ道を通る」のが、湯治場らしい楽しみ方につながります。
過ごし方の例としては、1日目は温泉街の散策と外湯・足湯で肩慣らし、2日目に三徳山や倉吉の町並みへ足を延ばし、夜は温泉街の静けさを味わう流れが組みやすいです。旅の主役を「移動」ではなく「湯と休息」に置くと、三朝温泉の良さがぐっと立ち上がってきます。
健康と癒し
三朝温泉は、放射能泉として知られることもあり、古くから療養や湯治を目的に訪れる人々に親しまれてきました。温泉に浸かりながら身体を温め、川音や山あいの静けさに包まれていると、気持ちが自然とほどけていきます。個人的には、「何かを治す」よりも「整える」意識で湯に向き合うと、旅の満足感が長く続くように思います。
湯治という点では、三朝温泉は長期滞在の文化があり、体調を整えるために繰り返し訪れる人も少なくありません。現代ではリラクゼーションや気分転換としての利用も多く、短い滞在でも十分に“休んだ実感”を得やすい温泉地です。熱い湯が得意でない人は、短時間の入浴を数回に分ける、湯上がりに水分補給をするなど、無理のないペースで楽しむのがおすすめです。
まとめ
三朝温泉は、伝承を含む歴史の厚みと、川沿いの温泉街ならではの風情をあわせ持つ温泉地です。放射能泉として知られる泉質、名物の河原風呂、そして周辺の三徳山や倉吉の町並みなど、温泉と観光を無理なく組み合わせられるのも魅力です。予定を詰め込みすぎず、「湯に入って、少し歩いて、また休む」というシンプルな流れに身を任せると、三朝温泉の良さが静かに染み込んできます。心身を整える旅先として、ぜひ候補に入れてみてください。